📋 この記事でわかること
ローカルLLMの法人導入支援を仕事にしている立場から、あえて「クラウドAIで足りる会社」と「社内で動かすべき会社」の分かれ目を中立に整理しました。判断チェックリスト、3年間の費用試算表、クラウドとの損益分岐点の計算式、公的機関が求めている確認事項の対応表を、すべて出典つきで掲載しています。結論を先に書くと、社内で動かす必要があるのは「外に出せないデータをAIに読ませたい業務」が実在する会社だけです。弊社はクラウドAI(Claude)とローカル環境の両方を自社で実際に動かしているので、どちらか一方を勧める理由がありません。読み終えたときに、自社が今どちらの側にいるかを判断できる状態を目指しています。
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公開日: 2026年8月23日(JST)/最終更新: 2026年8月23日(JST)
ローカルLLMとは、自社が管理するパソコンやサーバーの内部だけで推論を完結させる大規模言語モデルで、法人にとっては「外部にデータを送らずにAIへ社内文書を扱わせる」ための選択肢です。ただし、手元で動かすこと自体がセキュリティを保証するわけではありません。アクセス権限とログ管理の設計は、クラウドと同じように必要です。
書いているのは、ローカルLLMの法人導入支援を提供する株式会社エム・ジー・ケイです。ただし「全社的にローカルへ移行すべき」とは書きません。弊社はクラウドAI(Claude)の法人導入支援も提供し、自社サイト自体をClaude Codeで運用しています。 同時に Ollama と LM Studio で Gemma 3 12B を動かし、クラウドAIで行っていた業務の一部を置き換えました。 両方を毎日運用しているので、どちらかを売るために事実を曲げる必要がありません。
ローカルLLMの法人導入が必要なのは、どんな会社か
結論から書きます。ローカルLLMが必要なのは、「外に出せないデータを、AIに読ませたい」という業務が実在する会社だけです。それ以外は、クラウドAIを正しい契約と運用ルールで使うほうが費用も手間も少なく済みます。
まず、この5項目で判断してください
2つ以上に「はい」が付く会社は社内実行を検討する価値があります。0〜1個なら、いま急ぐ理由はありません。
| # | 判断項目 | 「はい」になる典型例 |
|---|---|---|
| 1 | 契約上、外部へ送信できないデータを扱っているか | 秘密保持契約・業務委託契約で外部送信が制限されている |
| 2 | 個人データを含む文章を、AIに大量に読ませたいか | 問い合わせ履歴・申込書・面談記録の要約や分類 |
| 3 | データの保存場所を国内・社内に限定する要求があるか | 取引先の情報セキュリティ監査や公共案件の仕様で指定される |
| 4 | 同じ処理を毎日大量に繰り返すか | 定型文の生成・分類・下訳・要約を日次でまとめて処理 |
| 5 | 通信が止まっても業務を続ける必要があるか | 製造現場・店舗・災害時の事業継続が前提 |
「中小企業にはまだ早い」という指摘は、半分正しい
「中小企業にローカルLLMはまだ要らない」という趣旨の記事が検索上位に並びます。この指摘は半分は正しいです。矢野経済研究所が国内民間企業500社を対象(回答496社)に行った調査(2025年6月末〜9月初実施・2025年12月19日公表)では、生成AIを「全社的に活用している」11.3%、「一部の部署で活用している」32.1%で合計43.4%、AIエージェントを「利用中」は生成AI利用中215社のうち3.3%でした。 多くの企業はクラウドAIを部署単位で使い始めた段階で、ここで機材を買っても載せる業務がありません。
市場側も同じです。IDC Japanは国内AI市場を2025年2兆3,725億円→2029年6兆8,897億円(2024〜2029年のCAGR 36.0%)と予測し、国内AIインフラ市場で企業の直接投資が占める割合は2025年で9.4%です。 「まず自社で持つ」が主流という事実はありません。
では、どこから「早くない」に変わるのか
「まだ早い」が成立しなくなる転換点は3つあり、いずれも一次情報で説明できます。
①外部サービスへの入力を、いちいち確認しなければならなくなったとき。 個人情報保護委員会は2023年6月2日の注意喚起で、個人データを含むプロンプトを入力する場合、提供事業者が「当該個人データを機械学習に利用しないこと等を十分に確認すること」を求めています。 部署ごとに違うサービスが増えるほど、確認と記録が負担になります。
②データの所在地を指定されたとき。 クラウド側で地域内処理を選ぶと追加費用が発生する場合があります(後述)。
③処理量が増えて、従量課金が固定費を上回ったとき。 これは計算で判断できます(後述)。
この3点を自社の数字で確かめる資料は、3年間の費用試算と判断基準をまとめた専門サイトにも掲載しています。
クラウドAIとローカルLLMは、何がどう違うのか
違いは「安全かどうか」ではなく、費用の形・データの経路・責任の所在・モデルの新しさです。
| 観点 | クラウドAI(従量課金・席数課金) | ローカルLLM(社内実行) |
|---|---|---|
| 費用の形 | 使うほど増える | ほぼ全額が初期の機材費。以後は電気代 |
| データの経路 | 外部へ送信される。契約と設定で確認 | 社内で完結する構成にできる。確認先は自社 |
| 責任の所在 | 可用性・更新は提供事業者。利用ルールは自社 | 可用性・更新・バックアップまで自社 |
| モデルの新しさ | 常に最新版が提供される | 入れ替えるまで固定。学習データにも区切りがある |
| 費用の予測 | 単価改定・仕様変更の影響を受ける | 買った時点で3年分が確定する |
「ローカルなら安全」は誤解です
社内で動かしても、守るべきことは減りません。IPA「情報セキュリティ10大脅威 2026」(2026年1月29日公開)の組織編では、「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が初選出で3位に入りました。 1位はランサム攻撃、2位はサプライチェーンや委託先を狙った攻撃です。手元に機材を置くとは、これらから守る責任も引き受けることです。個人情報保護委員会が求める「利用目的の範囲内であることの確認」も、社内処理なら免除されるわけではありません。
データを国内に留めると、クラウド側は高くなることがある
OpenAIは公式の価格ページで、地域内処理(データレジデンシー)に対応したエンドポイントについて、対象モデルの利用料金に10%の上乗せがある旨を記載しています(2026年8月時点)。 「データの所在地を指定したい」という要求は、クラウド側では追加費用になります。社内で動かせばこの上乗せは発生しません(そのかわり機材費は自社負担です)。
また Google は Gemini の料金ページで、無料枠は「入力が製品改善に使われる」、有料枠は「使われない」と区別しています(2026年8月時点)。
費用はいくらかかるのか(3年間の試算)
結論を先に書くと、ローカル側の費用はほぼ全額が初期の機材費で、電気代は3年分でも数千円〜数万円です。以下はすべて試算で、実費を保証しません。弊社の提供価格ではなく各社の公開定価で計算しており、表の機種は価格と消費電力が公開されている例です。
ローカル側:3年間の試算
| 項目 | Mac mini(M4) | Mac mini(M4 Pro) | Mac Studio(M4 Max) | Mac Studio(M3 Ultra) |
|---|---|---|---|---|
| 機材(Apple公式の表示価格・2026年8月時点) | 134,800円 から | 279,800円 から | 419,800円 から | 899,800円 から |
| 電気代 3年(試算・条件A) | 約 7,400円 | 約 13,239円 | 約 14,325円 | 約 25,051円 |
| 3年合計(試算) | 約 142,200円 | 約 293,039円 | 約 434,125円 | 約 924,851円 |
ソフトウェア費用は0円です(Ollama・LM Studio は無料、モデルもオープンウェイトとして配布。利用条件は各公式サイトでご確認ください)。ただし導入・設計・運用の人件費は含みません。電気代は次の式で自社の単価に置き換えられます。
年間の電気代(円)= { 待機電力(W)× 待機時間(h)+ 最大電力(W)× 高負荷時間(h) } ÷ 1,000 × 電力料金の単価(円/kWh)
クラウド側:3年間の試算
月間で入力2,000万トークン・出力200万トークンを処理する場合を、各社公式の定価(2026年8月時点・USD)で計算します。割引・無料枠は含みません。円換算は日本銀行の基準外国為替相場(令和8年8月中適用)1米ドル=161円です。
| モデル(2026年8月時点の公式定価) | 月額(USD) | 3年合計(USD) | 3年合計(円換算・試算) |
|---|---|---|---|
| Claude Opus 5(入力$5/出力$25) | $150.00 | $5,400.00 | 約 869,400円 |
| Claude Sonnet 5(入力$2/出力$10) | $60.00 | $2,160.00 | 約 347,760円 |
| Claude Haiku 4.5(入力$1/出力$5) | $30.00 | $1,080.00 | 約 173,880円 |
| gpt-5.6-sol(入力$4/出力$20) | $120.00 | $4,320.00 | 約 695,520円 |
| gpt-5.6-luna(入力$0.20/出力$1.20) | $6.40 | $230.40 | 約 37,094円 |
| Gemini 3.1 Pro Preview(入力$2/出力$12・20万トークン以下) | $64.00 | $2,304.00 | 約 370,944円 |
Anthropic公式によると、Claude の Team プランは年払いで1席あたり月額$20(月払いなら$25)です(2026年8月時点)。 10席×3年なら年払いでも約1,159,200円(試算)で、人数が増えるほど席数課金は機材1台の価格を早く追い越します。
この試算の条件(自社の値に置き換えてください)
- 機材:Apple公式の表示価格(最小構成の「〜から」)。周辺機器・保守・設置費用は含みません。
- 消費電力:Apple公開の「電力消費と熱出力(BTU)に関する情報」の値。「最大」はテスト用アプリで利用率を最大にした値で、推論中の実測値ではありません。
- 電力料金:全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価31円/kWh(税込・令和4年7月22日改定)。家庭向けのため事業所の契約単価に置き換えてください。
- 稼働条件A:24時間起動し1日2時間だけ高負荷(年8,760時間のうち730時間を最大電力)。条件B(平日8時間×250日をすべて最大電力とみなす上振れ条件)なら3年電気代は約12,090〜50,220円。
- 含まないもの:導入・設計・運用の人件費、ネットワーク機器、バックアップ、保守、社内教育。価格・仕様は変更されます。最新の情報は各社公式サイトでご確認ください。
損益分岐点はどこにあるのか
ローカル側はほぼ全額が初期費用、クラウド側は使った分だけ毎月積み上がります。したがって分かれ目は「月あたりの処理量」で決まります。
損益分岐までの月数 = 機材価格 ÷(クラウドの月額 - 社内実行の月あたり電気代)
3つの試算例
同じ条件で計算すると次のとおりです(試算)。
| 比較の組み合わせ | 月あたりの差額 | 逆転までの期間(試算) |
|---|---|---|
| Mac mini(M4)/ Claude Sonnet 5(月$60=約9,660円) | 約 9,454円 | 約 14.3か月 |
| Mac Studio(M4 Max)/ Claude Opus 5(月$150=約24,150円) | 約 23,752円 | 約 17.7か月 |
| Mac mini(M4)/ gpt-5.6-luna(月$6.40=約1,030円) | 約 824円 | 約 164か月(13年超) |
3行目が重要です。軽量なモデルで足りる用途・処理量が少ない用途では、クラウドのほうが圧倒的に安く、13年たっても逆転しません。 導入支援を売る側がこれを黙るのはフェアではないので先に書きます。「ローカルは常に安い」は誤りです。
それでも、クラウドは3年分の予算を固定できない
一方でクラウド側には「3年分の費用を今日決められない」性質があります。Google は Gemini の料金ページで、Gemini 3.7 Flash / 3.6 Flash の単価を2027年1月1日から入力$0.75→$1.50、出力$3.75→$7.50へ引き上げると予告しています(2026年8月時点の公式表記)。 逆に Anthropic は Claude Sonnet 5 について「2026年9月1日に予定されていた$3/$15への値上げは行わず、$2/$10が標準価格になった」と記載しています。 上がることも下がることもあるのが実態です。
もうひとつ、Anthropicの公式ドキュメントには、Claude 4.7以降のモデルが新しいトークナイザを使い同じ文章でも約30%多くトークンが出るという趣旨の記載があります。 使い方を変えていなくても、モデル更新で請求額が変わりうるということです。3年分の予算を固定したい会社には、機材購入と同じくらい重い判断材料になります。
法令・ガイドラインでは、何が求められているのか
「ローカルなら法令に適合する」という書き方はできません。 公的機関が示すのは「確認すること」「体制を整えること」という要求で、実行場所を指定したものではないからです。以下は要求事項の紹介であって法的な評価ではありません。個別の判断は必ず専門家にご確認ください。
個人情報保護委員会の注意喚起(2023年6月2日)
個人情報保護委員会は、生成AIサービスの利用に関する注意喚起で次のように示しています(原文)。
「個人情報取扱事業者が、あらかじめ本人の同意を得ることなく生成AI サービスに個人データを含むプロンプトを入力し、当該個人データが当該プロンプトに対する応答結果の出力以外の目的で取り扱われる場合、当該個人情報取扱事業者は個人情報保護法の規定に違反することとなる可能性がある。そのため、このようなプロンプトの入力を行う場合には、当該生成AI サービスを提供する事業者が、当該個人データを機械学習に利用しないこと等を十分に確認すること。」(個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」2023年6月2日)
求められているのは「確認」です。外部サービスを使うなら、契約・規約・設定で確認し記録を残す運用が要ります。
公的資料でどこまで言えるか(対応表)
| 求められていること(出典) | クラウドを使う場合 | 社内で動かす場合 |
|---|---|---|
| 個人データを含む入力について、提供事業者が機械学習に利用しないこと等を十分に確認する(個人情報保護委員会・2023年6月2日) | 契約・規約・設定で確認し記録を残す。サービスが増えるほど確認対象も増える | 外部送信が発生しない構成にできる。確認対象は自社の設計とアクセス権限 |
| 「AIの利用をめぐるサイバーリスク」への備え(IPA「情報セキュリティ10大脅威 2026」組織編3位・初選出/2026年1月29日公開) | アカウント管理・利用ログ・教育が中心 | 加えて機材の物理/ネットワーク保護とバックアップも自社責任 |
| AIガバナンス体制の整備(総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」令和8年3月31日・利用者向けは別添5) | 実行場所にかかわらず必要。社内規程・責任者・点検の仕組みを先に決める | |
| データの所在地を国内・特定地域に限定したいという要求 | 地域内処理に対応したエンドポイントは対象モデルで10%の上乗せがある旨が公式に記載されている(OpenAI・2026年8月時点) | 追加の課金は発生しない。ただし機材費・保守は自社負担 |
この表を自社の状況に当てはめる作業を、弊社ではローカル実行型AIの法人向け導入支援(サービス詳細)としてお引き受けしています。クラウド側で解決したほうが早い場合は、そうお伝えします。
何から始めればよいか(進め方・モデル選び・撤退基準)
始め方は「機材を買う」ではなく置き換える業務を1つ決めることからです。期間は一般的な目安で、業務の数と体制によって変わります。
4つのステップと目安期間
| ステップ | やること | 目安期間 |
|---|---|---|
| 1. 対象業務を決める | 外に出せないデータを使う業務を1つ選び、件数と所要時間を数える | 1〜2週間 |
| 2. クラウドで先に試す | 同じ処理をクラウドAIで試し、AIで解ける業務かを確かめる | 1〜2週間 |
| 3. 小さく動かす | 手元の1台で実行環境とモデルを動かし、同じ入力で結果と処理時間を比べる | 2〜4週間 |
| 4. 運用に載せる | 担当者・入力ルール・ログ・バックアップ・停止時の手順を決めて組み込む | 1〜2か月 |
ステップ2を飛ばす会社がいちばん失敗します。クラウドで解けない業務は、社内で動かしても解けません。 手元ではモデルの規模が小さくなるため、精度は下がる前提で設計します。
モデルは「性能」より先に「ライセンス」で絞る
2026年8月時点で公式に確認できる範囲です(採用時は各公式ページと自社の法務でご確認ください)。
- gpt-oss-20b(OpenAI):Apache 2.0。提供元が「16GBのメモリ内で動作する」と明記。
- Gemma 4(Google):Apache 2.0。12Bの配布サイズは7.6GB(Ollama公式表示)。
- Gemma 3(Google):Apache 2.0 ではなくGemma Terms of Use(最終改定2026年4月1日)が適用。規約本文に「commercial」の語はなく売上規模の上限条項は見当たりませんが、使用制限と再配布時の通知義務があります。
- Qwen3.8-27B(Alibaba Cloud):Apache 2.0。
- Llama 4(Meta):Community License。月間アクティブユーザー7億超は別途商用ライセンスが必要で、「Built with Llama」の表示義務と派生モデルの命名規則あり。
- PLaMo(Preferred Networks):Community License により年間売上10億円以下の企業は商用利用が可能(用途の登録が必要)。
動作環境の目安として公式に確認できるのは、LM Studio のシステム要件(16GB以上のメモリを推奨、Windowsは専用VRAM 4GB以上を推奨)と、Ollama が表示するモデル別の配布サイズです。「7Bなら8GB」型の早見表は公式の記載を確認できなかったため書きません。
弊社が動かすのは Gemma 3 12B です。Ollama公式の表示で8.1GB、コンテキスト128Kトークン、学習データの区切りは2024年8月と公表されています。 区切りがあるとは、最新の出来事を知らないということです。 社内文書の要約・分類・下訳のように「知識ではなく手元の文章を処理させる」用途に向きます。なお実行環境の構成(機材・メモリ・設定)は非公開です。
テキスト以外では MiniMax H3(提供元 Nanonoble Pte. Ltd./公開日2026年8月2日のローカル動画生成モデル。大規模言語モデルではありません)も自社環境で運用し、クラウド型の動画生成サービスで行っていた作業の一部を置き換えました。 ただし公式が示す完全なワークフローのうち前処理を担うモジュールはオープンソース公開に含まれておらず、「すべてが手元だけで完結する」と単純化はできません。年商2,000万米ドル超の商用製品・サービスでの利用には事前の書面許諾が必要で、商用利用時はUI上への「MiniMax H3」の明示義務があります。 さらにEU・英国・韓国・米国は適用地域から除外されており、海外向けの利用は法務にご確認ください。
撤退基準を、始める前に決める
いちばん効くのは「やめる条件」を先に決めることです。次のどれかに当てはまったら、社内実行は止めてクラウドに戻す判断を勧めます。
- ステップ3で、同じ入力の結果がクラウドと比べて実用水準に届かない(品質の問題は機材を増やしても解決しないことが多い)
- 月あたりの処理量が、損益分岐の式で13年超と出る(費用面の理由が消えている)
- 運用を担当できる人が社内に1人もいない(更新・バックアップ・障害対応が止まる)
機材は買えますが、担当者は買えません。ここが埋まらないなら、クラウドAIを正しく契約して使うほうが安全で安く済みます。弊社がClaude 法人導入支援(サービス詳細)を同時に提供しているのは、そのためです。
自社がどちら側かを、一緒に切り分けます
「社内で動かすべきか、クラウドのままでよいか」の切り分けから承っています。初回のご相談は無料・オンラインで全国対応・所要60分です。クラウドで足りると判断した場合は、そうお伝えします。
この記事の根拠(参照した一次情報)
本文中の数値・引用は、2026年8月23日(JST)時点で以下の一次情報から取得しています。各社の価格・仕様・規約は変更されますので、最新の内容は各公式サイトでご確認ください。
- 個人情報保護委員会の注意喚起(2023年6月2日・公式ページ)
- IPA「情報セキュリティ10大脅威 2026」(2026年1月29日公開)
- 総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」別添(令和8年3月31日・PDF)
- Apple「Mac mini の電力消費と熱出力(BTU)に関する情報」/Mac Studio の同資料(機材価格は apple.com/jp の製品ページ表示価格)
- 全国家庭電気製品公正取引協議会「よくある質問」(電力料金の目安単価31円/kWh)
- 日本銀行「基準外国為替相場」(令和8年8月中適用・1米ドル161円)
- Anthropic APIの料金ドキュメント/OpenAI APIの料金ドキュメント/Google Gemini APIの料金ページ
- Google「Gemma Terms of Use」(最終改定2026年4月1日)
- MiniMax H3 の公式モデルカードとライセンス原文
- 矢野経済研究所の法人アンケート調査(2025年12月19日公表)
- IDC Japan 公式ブログ「国内AI市場予測」(2026年3月18日)・「国内AIインフラ市場」(2026年5月7日)
よくある質問(FAQ)
中小企業に、社内で動かすAIは本当に必要ですか?
多くの中小企業には、現時点では必要ありません。必要になるのは、契約や監査の要求で外部へ送信できないデータをAIに読ませたい業務が実在する場合、または処理量が多く従量課金が固定費を上回る場合です。本文の5項目のうち2つ以上に当てはまるかどうかを、最初の判断基準にしてください。
費用はいくらぐらいかかりますか?
公開されている定価だけで計算した試算では、小型機を使う構成で3年合計が約14万円台からとなります(機材の表示価格+電気代のみ・2026年8月時点)。ただし導入・設計・運用の人件費は含みません。実際の費用は対象業務と体制で変わりますので、初回の無料相談で条件を伺ったうえでご説明しています。
社内で動かせば、情報漏洩は起きなくなりますか?
いいえ。外部送信は減らせますが、アクセス権限・ログ管理・機材の保護・バックアップの責任は自社に移ります。IPA「情報セキュリティ10大脅威 2026」でも組織編の1位はランサム攻撃、2位はサプライチェーンや委託先を狙った攻撃です。手元に置くことは、その脅威から守る責任を引き受けることでもあります。
どのモデルを選べばよいですか?
性能より先にライセンスで絞ることをおすすめします。gpt-oss-20b・Gemma 4・Qwen3.8-27B は Apache 2.0 で提供されています。Gemma 3 は Gemma Terms of Use、Llama 4 は Community License(表示義務・命名規則あり)と条件が異なります。2026年8月時点の情報のため、採用時は各公式ページと自社の法務でご確認ください。
クラウドAIは解約したほうがよいですか?
解約は不要です。最新の知識が必要な調べもの、高度な文章生成、開発支援はクラウドのほうが向いています。弊社も両方を併用し、外に出せないデータを扱う処理と、大量に繰り返す定型処理を社内側へ寄せる運用にしています。用途で振り分けるのが現実的です。
動画や画像の生成も社内でできますか?
オープンウェイトとして公開されている動画生成モデルがあり、弊社でも MiniMax H3 を自社環境で運用しています。ただし公式が示す完全なワークフローのうち前処理を担うモジュールはオープンソース公開に含まれておらず、「すべてが手元だけで完結する」とは言えません。商用利用時の表示義務や適用地域の制限もありますので、法務にご確認ください。
社内にエンジニアがいなくても導入できますか?
構築は代行できますが、運用を担当できる方が社内に1人も置けない場合はおすすめしていません。更新・バックアップ・障害時の対応が止まるためです。逆に言えば専任である必要はなく、手順に沿って月に数回対応できる担当者が決まっていれば運用は可能です。
どのくらいの期間で始められますか?
一般的な目安として、対象業務の選定に1〜2週間、クラウドでの事前検証に1〜2週間、小さく動かす検証に2〜4週間、運用に載せるまでに1〜2か月を見ています。対象業務の数と社内体制によって変わります。まずは1業務に絞って始めるほど、短く終わります。
✏️ 山崎 将史より
この記事を書くにあたって、いちばん迷ったのは「うちのサービスに不利なことを、どこまで先に書くか」でした。結論として、全部先に書くことにしました。処理量が少ない会社ではクラウドのほうが13年たっても安いこと、社内で動かしても確認作業は消えないこと、手元のモデルは学習データに区切りがあって最新のことを知らないこと。どれも、導入支援を売る側からすれば黙っていたい事実です。
それでも書いたのは、机上の空論を売りたくないからです。弊社はWeb構築を25年やってきて、自社で8つの事業を運営しています。このコーポレートサイト自体をClaude Codeで動かしていますし、その一方でOllamaとLM Studioを立ち上げてGemma 3 12Bに社内の文章を読ませ、クラウドでやっていた作業の一部を移しました。動画のほうも、クラウド型の生成サービスに出していた作業の一部を、MiniMax H3を使った自社環境での生成に置き換えています。両方を毎日触っていると、「どちらが優れているか」という問いの立て方自体が間違っていることがよく分かります。速いのはクラウド、静かなのは手元、それだけの話です。
実際にやってみて意外だったのは、電気代でした。試算する前は「つけっぱなしにしたら相当かかるだろう」と身構えていたのですが、公開されている消費電力と目安単価で計算すると、小型機なら3年で1万円に届きません。費用のほとんどは最初に払う機材代で、あとはほとんど変わらない。この構造が分かると、判断がずいぶん単純になります。毎月いくら払っているかを数えて、機材代を割ればいい。本文に載せた式は、そのためのものです。
もうひとつ実感しているのは、「担当者は買えない」ということです。機材は発注すれば届きますが、運用する人は届きません。ここが決まらないまま構築だけ進めると、半年後には止まっているだろうというのが弊社の体感です。だから弊社では、最初のご相談で「どなたが面倒を見ますか」を必ず伺います。そこが埋まらない場合は、正直にクラウドをおすすめします。売上にはなりませんが、止まるものを納品するよりずっといい。
初回のご相談は無料で、オンラインで全国どこからでも、60分いただければ「御社は今どちら側か」まで一緒に切り分けられます。判断材料をお持ち帰りいただくだけでも構いません。作業ではなく、仕事をしたいと思っています。