📋 この記事でわかること
当社では ChatGPT・Gemini・Claude を同時に使いながら、社内業務の土台は Claude に置く、という運用に落ち着きました。この記事では、なぜ「社内のAIを1つに統一する」のをやめたのか、3つのAIをどんな手順で比べたのか、そして比較を「なんとなく賢い」という感想で終わらせないために作った社内ベンチ(評価タスクと採点表)の中身を、日記としてそのまま公開します。用途別の使い分けマップ、併用で実際に起きた失敗、これから比較を始める会社向けの4ステップの進め方とチェックリストも載せました。特定のモデルの優劣を断定するのではなく、自社の業務でどう選ぶかを自分たちで判断できる状態になることを目的にしています。
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AI導入日記の8回目です。ここまでの回では、社内ルールの言語化や研修、バックオフィス業務の自動化など、Claude を軸にした話を書いてきました。ただ実際の当社の机の上は、もう少し雑然としています。ブラウザのタブには ChatGPT も Gemini も開きっぱなしで、社員によって使っているものがバラバラだった時期もありました。今回はその「併用の実態」と、そこから何を学んで何を決めたのかを記録します。
先にお断りしておきます。この記事は「どのAIが一番優秀か」を決める記事ではありません。各社ともモデルの更新が非常に速く、数ヶ月前の比較記事がすでに実態と合わなくなる世界です。ですから本文では、2026年7月時点の当社の体感と、公開情報の範囲で確認できる仕様の違いだけを扱い、断定的な優劣づけは避けます。代わりに、読者の会社が自分で比べられるようになる手順に紙面を割きます。
[前提のおことわり]本文で触れる各社サービスの仕様・料金・提供条件は、2026年7月時点で公開されている情報と当社の体感にもとづくものです。各社とも内容が変更される場合がありますので、最新の情報は必ず各社の公式サイトでご確認ください。また、特定のサービスが他より優れている/劣っていると断定するものではなく、あくまで「当社の業務ではこう違って見えた」という記録としてお読みください。
なぜ「社内のAIを1つに統一する」のをやめたのか
最初は1つに絞るつもりでした
検討を始めた当初、当社の方針は明確に「1社1AI」でした。理由は単純で、複数契約すると費用が増える、教える内容が増える、社内ルールを二重三重に作らなければならない、という3点です。中小企業にとって管理コストは軽視できません。実際、社内向けの説明資料の初稿には「全社で1つのツールに統一する」と書いていました。
ところが、実務で試し始めて1週間ほどで、その前提が揺らぎました。「これは統一という言葉に酔っているだけで、業務の実態を見ていない判断だな」と気づいたからです。統一が目的化すると、現場は「使いにくいけれど決まりだから使う」か「こっそり別のを使う」のどちらかになります。後者はシャドーITそのもので、セキュリティの観点ではむしろ危険です。
統一をやめた3つの理由
最終的に併用へ舵を切った理由は、次の3つに整理できます。
- 業務の種類が違いすぎました。 ひとくちに「AIで効率化」と言っても、コードやファイルを直接触る作業と、資料の下書きを作る作業と、社外の一次情報を調べる作業では、求められるものがまったく違います。1つの道具で全部やろうとすると、どこかで無理が出ます。
- 社員の慣れが分散していました。 個人でもともと別のAIを使っていた社員に「明日から全部これで」と言うのは、定着の観点で得策ではありませんでした。慣れた道具を入口にして、そこから範囲を広げるほうが立ち上がりが速いという感触がありました。
- 1社依存のリスクを避けたかった、という点です。 料金体系や提供条件は各社とも変わります(本文の記述はいずれも2026年7月時点のもので、最新は各社の公式サイトでご確認ください)。業務の中心に据えるものを1つ決めるのは良いとして、代替手段を一切持たない状態は、事業継続の観点で気持ちの悪さが残りました。
併用の前提として先に決めた2つのこと
ただし、無条件に併用を認めたわけではありません。放っておくと「なんとなく3つ契約している」という状態になり、費用も管理も膨らみます。そこで着手前に2つだけ決めました。
1つめは費用の上限です。評価期間中に払ってよい金額の枠をあらかじめ決め、その範囲で試すことにしました。金額はご参考にならないので伏せますが、「評価期間の1ヶ月で結論が出なければ、遅くとも3ヶ月時点で全部止める」という撤退条件をセットで決めたのがポイントです。撤退条件のない試用は、だらだら続く固定費になります。
2つめは評価期間の終わりの日です。この撤退条件の前段として、評価期間は約1ヶ月に切りました。期限を切らないと「もう少し試してから」が永遠に続きます。これから比較を始める会社でも、まずはこの2つを先に決めておくことをおすすめします。
比較を「感想」で終わらせない──社内ベンチの作り方
「なんとなく賢い」で決めると、あとで説明できない
併用を始めて最初に困ったのは、社内の会話が感想の言い合いになったことです。「こっちのほうが自然な日本語だと思う」「いや、こっちのほうが速い」──どちらも間違ってはいないのですが、これでは意思決定の根拠になりません。とくに、経営会議や稟議で「なぜこれを選んだのか」を問われたときに答えられません。
そこで、比較のやり方を業務側に寄せました。ベンチマークの点数や一般的な性能比較の記事ではなく、自社で実際に発生している仕事をそのまま課題にするという方針です。汎用的な性能が高いことと、自社の仕事が速く終わることは、必ずしも一致しません。
当社が評価に使った5つの実務タスク
評価タスクは、多すぎると回りません。当社は5つに絞りました。いずれも「その週に実際にあった仕事」から選んでいます。
- タスクA:長い社内ルールの遵守/A4で数ページ分の社内表記ルールを渡し、それに沿った告知文を書かせます。ルール違反の箇所を数えます。
- タスクB:既存ページの改修/実際のWebページのHTMLを渡し、指定どおりの修正を加えさせます。レイアウトが崩れないか、指示外の箇所を勝手に変えていないかを見ます。
- タスクC:数字の突き合わせ/見積書と請求書に相当するサンプルを渡し、金額・数量・日付の不一致を指摘させます。わざと3か所の不一致を仕込んでおきます。
- タスクD:一次情報の調査/公開されている制度や仕様について調べさせ、出典URLを添えさせます。出典が実在するか、内容と合っているかを人が確認します。
- タスクE:長文の要約と再構成/議事録相当のテキストを渡し、決定事項・宿題・期限に分けて整理させます。抜け漏れの数を数えます。
ポイントは、すべてのタスクに「正解の数え方」を用意したことです。「違反箇所が何個あったか」「仕込んだ不一致3件のうち何件見つけたか」というように、数えられる形にします。これをやらないと、結局は好みの話に戻ってしまいます。
採点表のフォーマット(そのまま真似できます)
採点表は表計算ソフトで十分です。当社が使った項目は次のとおりです。各タスクを同じ指示文で3回ずつ実行し、平均ではなくいちばん悪かった回を記録するのがコツでした。実務で困るのは、良いときの性能ではなく、悪いときの下限だからです。
| 評価項目 | 見るポイント | 記録の仕方 |
|---|---|---|
| 指示の遵守 | 言われたことをやったか/言われていないことをやっていないか | 違反箇所の件数 |
| 再現性 | 同じ指示を3回出して、結果がぶれないか | 3回中の最悪値 |
| 事実の確かさ | 出典が実在するか、数字が資料と一致するか | 誤り件数と、その深刻度(軽/重) |
| 作業の到達点 | 提案止まりか、成果物(ファイル・差分)まで届くか | 人の手戻り工数の体感(分) |
| やり直しの手間 | 直してもらうときに、意図が伝わるか | 往復回数 |
| 説明のしやすさ | 社内の非エンジニアに使い方を説明できるか | 5段階の主観評価 |
この採点表の効用は、順位が決まることではありません。議論の対象が「どちらが好きか」から「どの項目を重視するか」に変わることです。実際、当社の社内でも「事実の確かさを最優先にするなら調査系は人が裏取りする前提で運用しよう」といった、具体的な運用の話に進みました。
併用して見えてきた、得意・不得意の傾向
用途別の使い分けマップ
1ヶ月の評価を経て、当社が落ち着いた使い分けが下の表です。これは当社の業務構成と、2026年7月時点での体感に基づく整理であり、他社にそのまま当てはまるものではありません。また各社ともモデルの更新が速いため、半年後には見直す前提で運用しています。
| 業務の種類 | 当社の主担当 | そう決めた理由(当社の体感) |
|---|---|---|
| サイト・コード・ファイルの実作業 | Claude(Claude Code) | 会話で終わらず、ファイルの変更や確認まで一連で任せられるため |
| 長い社内ルールに沿った文書作成 | Claude | 当社が試した範囲では、ルール文書を渡したときの守り方が安定していたため |
| 企画のたたき台・アイデア出し | 用途に応じて併用 | 幅を出したいときは複数に同じお題を投げ、良い部分をこちらで拾う |
| Web上の一次情報の調査 | 用途に応じて併用 | どのAIでも出典の裏取りは人がやる前提。検索連携の使い勝手で選ぶ |
| 画像・資料の下書きなど周辺作業 | 各社員の慣れたもの | ここを統一する実益が薄く、慣れを優先したほうが速い |
| 社外に出す最終原稿 | AIは下書きまで | 公開責任は人が持つ。最終確認を機械に委ねない、を全社ルールにした |
差が出た場面と、ほとんど差が出なかった場面
正直に書くと、差が出なかった場面のほうが多かったというのが実感です。短いメール文の下書き、箇条書きの整理、用語の言い換え、簡単な翻訳といった作業では、どれを使っても実務上の差は感じませんでした。ここで悩む時間は、率直にもったいないと思います。
一方で、差が出やすかったのは次のような場面でした。いずれも「指示が長い」「守るべき制約が多い」「作業が複数手順にまたがる」という共通点があります。
- 数ページ分の社内ルールを渡したうえで、その全部を守らせるとき
- 既存の資産(HTML・設定ファイル・過去の原稿)を壊さずに部分修正させるとき
- 1つの依頼のなかに、調べる・直す・確認する、と工程が複数あるとき
- 途中でこちらが方針変更を伝え、それ以降の作業に反映させたいとき
「どれが一番賢いか」を断定してはいけない理由
この記事で優劣を断定しない理由は3つあります。第一に、モデルは更新されます。今日の比較結果は数ヶ月で古くなります。第二に、評価は業務構成に強く依存します。当社はWeb制作と自社メディア運営が中心なので、ファイルを触る作業の比重が高くなります。事務作業が中心の会社なら、まったく別の結論が出て当然です。
第三に、比較記事の数字は再現条件が書かれていないことが多いという問題があります。どんな指示文で、何回試して、どう数えたのか。そこが書かれていない比較は、参考程度に留めるのが安全です。だから当社は、他社の比較記事を眺めるより、自社のタスク5つで自分で測るほうが早いと判断しました。
当社が業務の土台に Claude を置いた3つの理由
理由1:長い社内ルールを読ませたときのブレが小さかった
当社の社内ルールは、表記ゆれの扱い、禁止表現、日付の書き方、公開前の確認手順まで含めるとかなりの分量になります。これを毎回コピー&ペーストして貼るのは現実的ではないので、ルールをファイルに置いて読ませる運用にしました(この話は第4回の CLAUDE.md の回で詳しく書きました)。
評価タスクAで見たかったのは、この長いルールを「最後まで」守れるかどうかです。会話が長くなると前半の指示を忘れる、という現象はどのAIでも起こり得ますが、当社の試した範囲では、ルール文書を土台に置いたときの守り方が比較的安定していました。これは性能の優劣というより、運用の相性の話だと理解しています。
理由2:会話で終わらず、ファイルと作業まで届く
もう1つ大きかったのが、Claude Code の存在です。チャット画面で「こう直すといいですよ」と提案されても、そこから実際にファイルを開いて直すのは人間の仕事です。この最後の一歩が、実は工数のほとんどを占めています。
当社はコーポレートサイトの更新をこの方式で回しています(実例はWordPressとAIを活用した、日本語指示によるホームページ更新にまとめました)。日本語の指示から、ファイルの変更・確認までを一連で任せられるかどうかは、事務作業中心の会社でもファイル整理や定型書類の生成で効いてくると考えています(Claude Code の機能や提供条件は2026年7月時点のものです。最新は公式サイトでご確認ください)。無料相談でお話を伺っていても、この「最後の一歩まで任せられるか」が判断の分かれ目になりやすいと感じます。当社の取り組みはClaude 法人導入支援のページにまとめています。
理由3:社内に説明しやすい=稟議に載せやすい
意外に軽視されがちですが、「なぜこれを選んだのか」を社内に説明できるかは重要な選定基準です。当社の場合、「実作業まで任せられるから」「社内ルールをファイルで管理できるから」という理由は、AIに詳しくない役員にも伝わりました。逆に「出力が自然だから」は、聞き手によっては何の説明にもなりません。
Claude 法人導入を社内で通すとき、選定理由が業務の言葉で語れるかどうかは、想像以上に効きます。費用対効果の整理については第10回で扱いますが、その前段として「なぜこの道具か」を言語化しておくと、稟議の通り方が変わります。
併用運用のルール設計──ここを決めないと現場が混乱する
ルール1:情報の区分(どのAIに何を入れてよいか)
併用でいちばん怖いのは、契約形態や設定の違いを社員が把握しないまま、機密情報をあちこちに投げてしまうことです。当社は「AIごとに何が違うか」を社員に暗記させるのは無理だと割り切り、情報の側を3段階に区分して、入れてよい先を対応づける方式にしました。
- 区分1(社外秘なし):一般論、公開済みの自社情報、社外に出しても困らない下書き。→ どのAIでも可。
- 区分2(社内限定):社内の手順書、未公開の企画メモ、数値を伏せた事例。→ 法人契約で条件を確認済みの環境のみ。
- 区分3(取扱注意):顧客の個人情報、取引先名と金額の組み合わせ、認証情報。→ 原則としてAIには入れません。必要なら伏字・ダミー化してから使います。
この区分は、ツール名ではなく情報の性質で決めるのがポイントです。ツール基準にすると、新しいAIが増えるたびにルールを作り直すことになります。なお、契約ごとの学習利用の扱いや設定の確認手順は第3回に書きました。学習利用の扱いや管理者設定の内容は各社・各プランで異なり、変更もされます(本記事の記述は2026年7月時点のものです)。実際の契約条件は各社の公式情報が正ですので、最新は各社の公式サイトでご確認のうえ、社内規程に落とす際は必要に応じて専門家にご相談ください。
ルール2:出力の持ち回り(AIにAIを検証させる)の作法
併用ならではの使い方として、片方の出力をもう片方に点検させる、という運用を試しました。これは条件つきで有効です。有効だったのは「読みにくい箇所の指摘」「前提の抜けの指摘」「反対意見の列挙」といった、視点を増やす目的のときでした。
逆に、期待外れだったのは事実確認です。AとBの両方が同じ思い込みをすることがあり、二重チェックにはなりません。事実の裏取りは、原則として一次情報にあたる人の作業として残します。これは併用運用の鉄則として社内に明文化しました。
ルール3:併用で実際に起きた失敗
ここは正直に書きます。当社が実際にやらかした(あるいは危うくやりかけた)失敗は次のとおりです。同じ轍を踏まないよう、チェックリストとして共有します。
- 同じ資料を複数のAIに投げて、どれが最新か分からなくなりました。 → 対策:作業ごとに担当AIを1つ決め、途中で乗り換えないようにします。乗り換えるときは最新版のファイルを明示して渡します。
- Aで作った文章をBで整えたら、社内ルールの表記が戻ってしまいました。 → 対策:ルールを持っている環境で仕上げます。整形だけを別のAIに任せません。
- 社員ごとに使うAIが違い、同じ質問に別々の答えが返って混乱しました。 → 対策:社内の共通ルールはファイルで一元管理し、どの環境でも同じルールを読ませます。
- 「AIが言っていた」を根拠に社外へ回答しかけました。 → 対策:社外に出す情報は人が一次情報で確認する、を全社ルールに明記します。
- 試用のまま契約が残り、誰も使っていない枠に費用が出ていました。 → 対策:評価期間の終了日に棚卸しを行い、使っていない契約は止めます。
これから比較する会社への、4ステップの進め方
ステップ1〜4(およそ30日で回せます)
ここまでの経験を、これから比較を始める会社向けの手順に整理しました。所要は目安として約1ヶ月です(当社の体感であり、業務量によって前後します)。
- ステップ1(1〜3日目):課題を5つ選ぶ。 先週実際にあった仕事から、時間がかかった順に5つ書き出します。理想の業務ではなく、現実に起きた仕事を選ぶのが重要です。
- ステップ2(4〜7日目):正解の数え方を決める。 各課題について「何が何個あれば合格か」を先に決めます。ここを決めずに試すと、感想の言い合いに戻ります。
- ステップ3(8〜21日目):同じ指示で3回ずつ試す。 指示文は全AIで同一にし、結果は最悪値で記録します。担当は1人で抱えず、最低2人で分担すると主観の偏りが減ります。
- ステップ4(22〜30日目):主担当を決め、撤退するものを止める。 全部で1位を取る必要はありません。「土台に置くもの」を1つ決め、残りは用途を限定して残すか、契約を止めます。
比較を始める前のチェックリスト
着手前に、次の項目に「はい」と答えられるか確認してください。ひとつでも空欄があると、評価が途中で止まりやすくなります。
- 評価期間の終了日をカレンダーに入れたか
- 評価に使う予算の上限と、撤退条件を決めたか
- 評価タスクは、実際に発生した仕事から選んだか(想像の課題になっていないか)
- 各タスクに数えられる合格基準を用意したか
- 入れてよい情報の区分(区分1〜3)を、試す前に決めたか
- 評価を担当する人が2名以上いるか(1人だと主観に寄る)
- 結果を記録する採点表のファイルを、先に作ってあるか
- 「全部で1位」を求めていないか(土台を1つ決めるのが目的だと共有できているか)
迷ったら、比較の設計だけでも相談してください
ここまで書いておいて言うのもなんですが、この比較作業はそれなりに手間がかかります。とくに難しいのはステップ2の「正解の数え方を決める」ところです。ここを決めきれないまま試用に入ると、評価が感想に戻ってしまいます。当社も一度そうなりました。
当社は自社のサイト運営も社内業務も Claude を土台にして回しており、その過程でつまずいた箇所をひととおり経験しています。Claude 法人導入支援では、契約や研修の前段として、この評価タスクの設計から一緒に作るところをお手伝いします。初回相談は無料・オンラインで全国対応、所要は60分です。「うちの業務なら何を課題にすればいいか」だけでも、話しながら整理できます。ご相談はお問い合わせフォームからどうぞ。業務全体の見直しから入りたい場合はAI×WEB戦略コンサルティングもあわせてご覧ください。
よくある質問(FAQ)
結局、法人ではどれか1つに統一したほうがいいのでしょうか?
当社の結論は「土台は1つに決め、用途を限定して他も残す」です。全社の中心に置くものを1つ決めないと、社内ルールの管理先が分散して混乱します。一方で完全統一は、現場が使いにくさを感じたときにシャドーITを生みます。土台を決めたうえで、残りは用途を明記して残すのが現実的だと考えています。
3つも契約すると費用がかさみませんか?
かさみます。だからこそ、評価期間と撤退条件を先に決めることをおすすめしています。当社は評価期間の終了日に棚卸しを行い、使われていない枠は止めました。試用のまま契約が残って固定費化するのが最悪のパターンです。人数分の契約をいきなり揃えず、少人数で試す形から始めるのが安全です。
比較記事やベンチマークの点数を見て決めてはいけませんか?
参考にはなりますが、それだけで決めるのは避けたほうが無難です。指示文・試行回数・数え方といった再現条件が書かれていない比較が多く、自社の業務構成とも一致しません。汎用的な性能が高いことと、自社の仕事が速く終わることは別問題です。自社の実タスク5つで測るほうが、結論が早く出ます。
片方のAIの出力を、もう片方にチェックさせるのは有効ですか?
目的によります。読みにくさの指摘、前提の抜けの洗い出し、反対意見の列挙といった「視点を増やす」用途では有効でした。ただし事実確認の代わりにはなりません。両方が同じ思い込みをすることがあるためです。出典や数値の裏取りは、人が一次情報にあたる作業として残してください。
評価にはどれくらいの期間と人数が必要ですか?
当社の体感では、約1ヶ月・2名以上が目安です。期間を切らないと「もう少し試してから」が続き、結論が出ません。人数を2名以上にするのは、1人だと主観に寄るためです。専任である必要はなく、通常業務のなかで実際の仕事を課題として回せば、追加の負荷はそれほど大きくなりません。
社員が勝手に別のAIを使ってしまうのを、どう防げばよいですか?
禁止より先に、情報の区分を決めるのが有効でした。ツール名で細かく縛ると、新しいサービスが出るたびにルールを作り直すことになります。「この性質の情報はここまで」という区分にしておけば、社員が判断できます。そのうえで、取扱注意の情報は原則としてAIに入れない、という一線を明確にしてください。
この記事の使い分けは、そのまま自社に当てはめてよいですか?
そのままの流用はおすすめしません。当社はWeb制作と自社メディア運営が中心のため、ファイルを直接扱う作業の比重が高く、その前提での整理です。事務作業や営業活動が中心の会社では別の結論になり得ます。真似していただきたいのは結論ではなく、評価タスクの選び方と採点表の作り方のほうです。
✏️ 山崎 将史より
この回を書くにあたって、いちばん迷ったのは「どこまで踏み込んで書くか」でした。比較記事は、順位をはっきり書いたほうが読まれます。「1位はこれ、2位はこれ」と言い切ったほうが親切に見えるのも分かります。それでも今回それをしなかったのは、私自身が半年前に書いた自分のメモを読み返して、すでに事実と合わなくなっている箇所をいくつも見つけたからです。各社の更新の速さを考えると、断定は読者に対して不誠実になりかねません。当社は「机上の空論を売らない」「自分の体で実証してから提供する」を掲げていますが、実証したことにも賞味期限があります。だから今回は、結論ではなく測り方を書きました。
もうひとつお伝えしたいのは、比較に時間をかけすぎないでほしい、ということです。今回ご紹介した5タスク・約1ヶ月という枠は、長くするためではなく、終わらせるために決めたものです。実務で本当に差が出るのは、道具を選んだあとの運用──社内ルールをどう書くか、誰がどこまで確認するか、失敗をどう共有するか──のほうでした。一般に、選定に時間をかけすぎて疲れ切ってしまい、導入そのものが立ち消えになる、という話も見聞きします。それがいちばんもったいないと思います。
「他社のAIと比べてどうですか」と聞かれたら、私は「御社の先週の仕事を5つ教えてください」とお返ししたいと考えています。その5つが分かれば、比べるべき軸が決まります。当社の場合は、そこから約1ヶ月で結論を出せました。逆に、その5つが出てこない状態でツールを比べても、答えは出にくいままです。まずは自社の仕事を書き出すところからで大丈夫です。書き出す作業そのものが、業務の棚卸しになります。
当社の初回相談は無料・オンラインで全国対応、所要60分です。「比較の設計だけ手伝ってほしい」「うちの業務で何を課題にすべきか整理したい」といったご相談も歓迎します。導入の全体像はClaude 法人導入支援のページに、実際の運用例はサイト運用の実例記事にまとめてあります。次回・第9回では、導入したのに「定着しない」会社に共通する点と、続けるための仕組みについて書きます。お気軽にお問い合わせください。