公開日:2026-08-07/最終更新:2026-08-07(JST) 料金・仕様は記事内に記載の時点の情報です。
📋 この記事でわかること
Claude の法人向けプランは Team と Enterprise の2つです。どちらを選ぶかは利用人数ではなく、社内で証明したいこと(誰が何をしたかの記録・退職者のアカウント処理・会話データの保存期間)で決まります。この記事では、2026年8月時点で Anthropic の公式ページから確認できる範囲に限定して両プランの機能差・料金・データの扱いを表で整理し、Enterprise を検討すべき4条件と切り替えの実務、稟議に貼れる判断シートまでをまとめました。
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「うちは Team で足りるのか、Enterprise が必要なのか」。Claude の法人契約でいちばん多く止まるのがこの分岐です。公式の比較表は項目名が管理者向けの専門用語で並び、情報システムの担当がいない会社では「この機能が無いと何が困るのか」を読み取れません。
結論から書きます。この判断は席数では決まりません。10人でも Enterprise が要る場合があり、80人でも Team で十分な場合があります。分かれ目は「AI の使われ方をどこまで証明する必要があるか」です。以下、その証明責任から逆算して選ぶ手順を示します。
1. 結論:選択は人数ではなく「証明する必要があるか」で決まる
判断を分ける3つの問い
最初に、次の3つに答えてください。この3問で検討の8割は片が付きます。
問1:誰がいつ何をしたかの記録を、第三者(監査法人・取引先・親会社)へ提出する場面があるか。
問2:入退社や異動のたびに、人事システム側の変更をそのままアカウントへ反映させる必要があるか。
問3:会話データを「◯日で消す」と社内規程や顧客との契約で決めているか。
3問すべてが「いいえ」なら Team で始めて問題ありません。1つでも「はい」があるなら、Enterprise を前提に設計したほうが結果的に安く付きます。この3つは後から運用でカバーできない要件だからです。監査記録は、取られていなかった期間をさかのぼって作れません。
多くの中小企業は Team から始めて問題ない
誤解されやすいのですが、Team プランは「お試し版」ではありません。公式料金ページによれば、Team には中央請求と組織管理、シングルサインオン(SSO)、コネクタに対する管理者制御、デスクトップアプリの組織展開、そして既定で入力内容をモデル学習に使わない扱いが含まれます(2026年8月時点)。全社で使い始める機能はひととおり揃っています。
「セキュリティが心配だから Enterprise」という選び方は粗すぎます。心配の中身を上の3問のどれに当たるかまで分解してください。多くの場合、それはプランの問題ではなく社内ルールの問題です。
それでも Enterprise が必要になる場面
一方で、Enterprise でしか満たせない要件も明確にあります。監査ログ、SCIM によるアカウントの自動同期、データ保持期間のカスタム設定、IP 許可リスト。要件表に「監査ログ必須」と書かれた時点で、選択肢は Enterprise 一択です。
2. Team と Enterprise の機能差【2026年8月時点】
料金と席の考え方
公式料金ページ(2026年8月6日確認)の公表内容は次のとおりです。金額は米ドル建てで、税は含みません。
| 項目 | Team | Enterprise |
|---|---|---|
| 想定規模 | 2〜150人 | 大規模に運用する組織 |
| 標準シート | 年払いで1席あたり月20ドル(月払いは25ドル) | 1席あたり月20ドル+利用量に応じた課金 |
| 上位シート | プレミアムシート:年払いで1席あたり月100ドル(月払いは125ドル)/標準の5倍の利用量。標準シートとの混在が可能 | 利用量は API のレートに準じて積み上がる |
| 請求サイクル | 月次・年次のどちらも可 | 年次 |
| 申し込み経路 | 自社で申し込み | セルフサーブと営業担当が入る形の2通り |
押さえるべきは、両者は課金の設計思想が違う点です。Team は席数だけで月額が決まり、予算を先に固定できます。Enterprise は席の料金に利用量が積み上がる形で、利用量は API のレート基準で計算されます。使い込むほど費用が伸びるため、後述の支出上限の設定とあわせて運用する前提になります。なお公式料金ページには、Team・Enterprise のいずれにも利用量の制限が適用される旨の注記があります(2026年8月時点)。費用を積めば無制限に使える、という意味ではありません。
管理・セキュリティ機能の差
公式料金ページの Enterprise の説明は「Team プランの全機能に加えて」という形です。Enterprise は Team の上位互換で、下表の右列が追加される差分です。
| Team に含まれるもの | Enterprise で加わるもの |
|---|---|
| 中央請求と組織管理 | 監査ログ |
| シングルサインオン(SSO) | SCIM によるアカウントの同期 |
| コネクタに対する管理者制御 | 細かい権限設定を伴うロールベースアクセス |
| デスクトップアプリの組織展開 | データ保持期間のカスタム設定 |
| Claude Code・Claude Cowork などの利用 | ネットワーク単位のアクセス制御・IP 許可リスト |
| 既定でモデル学習に使わない扱い | コンプライアンス API、支出上限の設定、HIPAA 対応の提供形態 |
実務で効くのは上から3つです。監査ログは「誰がいつ何をしたか」を後から示す記録で、無ければ社内調査も外部監査も成立しません。SCIM は ID 基盤の変更をアカウントへ自動反映する仕組みです。ロールベースアクセスは、閲覧だけの管理者と設定変更ができる管理者を分けます。
コンテキストウィンドウの差
見落とされがちな差がもう一つあります。コンテキストウィンドウ(一度に読み込める情報量)が、Team は20万トークン、Enterprise は既定モデルで50万トークンと公表されています(2026年8月時点)。長い契約書や規程集を読ませる業務では、この差が「1回で処理できるか、分割が必要か」を分けます。扱う文書の長さを理由に Enterprise を選ぶ会社もあります。
3. データの取り扱いは何が違うか
モデル学習への利用
社内審査でほぼ必ず聞かれる点です。Anthropic のプライバシーセンターには、Claude for Work や API といった商用プロダクトについて「既定では入力・出力をモデルの学習に使用しない」と明記されています。公式料金ページの比較表でも、Team・Enterprise はともに「既定でなし」と表示されます。一方、個人向けの Free・Pro・Max は「オプトアウト」(利用者が自分で外す)方式で、ここが個人契約と法人契約の決定的な違いです(いずれも2026年8月時点)。
ただし例外があります。良い・悪いを送るフィードバックのボタンを押した会話は保存され、モデルの改善に使われる可能性があります。このデータは最大5年保存され、利用者や顧客の ID とは切り離して扱われると説明されています。送信自体は、Team・Enterprise の Primary Owner または Owner が組織設定から無効化できます。審査で「学習されない」と説明する会社は、この設定を確認してください。
会話の保存期間と削除
公式ヘルプによると、会話を削除すると履歴から即座に消え、バックエンドの保存領域からは30日以内に削除されます。シークレットチャットも30日以内に自動削除されます。ここまでは両プラン共通です。
差が出るのは組織として保存期間を決められるかです。データ保持期間のカスタム設定は Enterprise の機能で、最短30日から設定できます(1か月=30日換算)。設定しない限り既定では無期限に保持されます。変更すると、新しい期間から外れるデータは保存操作の時点で即時削除され、復元できません。保持設定の変更や削除は監査ログに記録されます。
実務上の注意:保持期間を短く設定し直すと、その場で対象データが消えます。過去の経緯を残したい部署があるなら、変更前に社内へ周知し必要な内容を書き出してください。削除は取り消せません。
管理者が持つ権限を社内に説明する
説明を省くと後で問題になるのが管理者の権限範囲です。公式ヘルプには、組織の Primary Owner がアカウントと関連データを管理し、データエクスポートを通じて利用者の会話・アップロードしたファイル・利用状況にアクセスを要求できること、アクセス権の削除もできることが書かれています。法人契約として当然の統制ですが、従業員から見れば「上司が会話を見られるのか」という話です。誰が管理者で、どういう場合に内容を確認するのかを導入時に伝えてください。曖昧なまま始めると、現場は業務データを入力せず個人アカウントでの利用に戻ります。
入力内容に個人情報が含まれる場合の取り扱いは、社内規程と個人情報保護法の両面から確認が必要です。解釈や適法性は事案ごとに変わるため、個人情報保護委員会の公表資料を確認し、個別の判断は弁護士など専門家へご相談ください。
4. Enterprise を検討すべき4つの条件
条件1・2:監査記録と、アカウントの自動同期
条件1:AI の利用記録を外部に提出する立場にある。上場企業の子会社、ISO 27001 や Pマークの運用中、取引先から情報セキュリティ質問票を求められる、といった状況です。監査ログの有無が可否を決めます。
条件2:人の出入りが多い。アカウントの発行と停止を手作業で回すと必ず取り残しが出ます。SCIM で ID 基盤と同期できれば、退職処理の当日にアクセスが止まります。
条件3・4:保存期間の統制と、業種要件
条件3:会話データの保存期間を自社で決める必要がある。顧客との契約に「委託先での保存期間」の定めがある場合、Enterprise のデータ保持設定が要件そのものになります。
条件4:規制の強い業種である。医療・金融のように扱う情報が制度で縛られる領域では、HIPAA 対応の提供形態や IP 許可リストが要件表に載ります。なお Anthropic は ISO 27001:2022、ISO/IEC 42001:2023、SOC 2 の Type I・Type II を取得済みと公表しています(2026年8月時点)。プランの選択と認証取得の有無は別の話です。
4条件に当てはまらない場合
いずれにも当てはまらない会社は Team を選んでください。費用は席の割り当てで調整します。全員に上位シートを配る必要はなく、1日中使う数名だけをプレミアムシートにできます。プランを上げる前に、席の種類を見直すほうが先です。
5. Team から Enterprise へ切り替えるときの実務
切り替え前に決める3つ
移行そのものより、決めごとの整理に時間がかかります。着手前に次の3つを固めてください。
①管理者の役割分担:誰が Primary Owner を持ち、誰が設定変更でき、誰が閲覧のみか。
②保持期間の方針:全社一律か部署ごとか。既定は無期限保持のため、決めなければ何も消えません。
③請求の切り替え時期:Enterprise の請求サイクルは年次です。Team を月次で契約していれば支払いの区切りが変わります。
切り替えの前後で確認すること
切り替え作業自体は管理画面で完結しますが、前後で確認したい点が3つあります。既存のプロジェクトと会話が移行後も参照できるか、SSO の接続設定が引き継がれているか、保持期間の設定で消えるデータが無いか。保持期間の設定は、データの棚卸しが終わってから入れてください。
つまずきやすい点
実務で止まりやすいのは社内 ID 基盤側の準備です。SCIM で同期するには、人事情報を持つ側の設定と属性設計が必要になります。Claude 側だけを見て計画を立てると、ここで日程が伸びます。ID 基盤の保守先へ、検討の初期段階で声をかけてください。
また、監査ログは「取り始めた日から」しか残りません。対象期間が決まっているなら、開始前に切り替えを済ませてください。Claude 法人導入の進め方【全6ステップ】とあわせて、逆算した日程を引いてください。
6. 稟議に貼れる判断シート
そのまま使える記入欄
稟議で問われるのは「なぜ上位プランが要るのか」の一点です。次の表を埋めれば説明が完成します。空欄が残る項目は、まだ検討が足りていない箇所です。
| 確認項目 | 記入内容 | これが該当すると |
|---|---|---|
| 利用予定人数と部署 | 150人を超えるなら Enterprise | |
| 利用記録の提出先 | 提出先があるなら監査ログが必須 | |
| 年間の入退社・異動の件数 | 多いなら SCIM で自動化 | |
| 会話データの保存期間の定め | 定めがあるなら保持設定が必要 | |
| 扱う文書の最大の長さ | 長文中心なら読み込み量が効く | |
| 予算の立て方 | 固定費で組みたいなら Team |
判断を保留してよい場合
この表を埋めても決まらない場合、多くは「AI に何をさせるか」がまだ決まっていないことが原因です。用途が定まらないうちにプランだけ上げても、費用が先に出て成果が追いつきません。Team で小さく始め、3か月ほど使われ方を見てから判断してください。プランは後から上げられますが、使われない契約の費用は戻りません。
なお、当サイト自体も Claude Code で構築・運用しています。プラン選定から社内ルールの設計、日々の運用までを自社で通しているため、机上の比較では出てこない詰まりどころもお伝えできます。進め方は Claude 法人導入支援、料金の全体比較は Claude 法人契約の料金・プラン比較 をご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Team から Enterprise へは後から変更できますか。
プランの変更自体は可能です。ただし監査ログは切り替え後の操作からしか記録されず、さかのぼって作れません。監査の対象期間が決まっている場合は、その期間が始まる前に切り替えを終えてください。手続きは契約形態で異なるため、申し込み前に提供元へご確認ください。
入力した内容が学習に使われないのは、どちらのプランですか。
公式情報では、Team・Enterprise ともに既定でモデル学習に使用しないと示されています(2026年8月時点)。個人向けの Free・Pro・Max は利用者が自分で外す方式で、扱いが異なります。フィードバックのボタンを押した会話は例外のため、組織設定で送信を無効化できる点もあわせてご確認ください。
社員10名の会社ですが、Enterprise を選ぶ理由はありますか。
あります。人数ではなく要件で決まるためです。情報セキュリティ質問票で監査記録の有無を問われる、顧客との契約でデータの保存期間が定められている、といった条件が1つでもあれば、10名でも Enterprise が前提になります。該当しなければ、10名でも80名でも Team で問題ありません。
費用が読めなくなるのが不安です。どちらが安全ですか。
予算を先に固定したい場合は Team が向いています。席数だけで月額が決まるためです。Enterprise は席の料金に利用量が加わり、使った分だけ費用が伸びます。利用者と組織の単位で支出の上限を設定する機能があるため、上限管理を運用に組み込める体制があるかで判断してください。
まず何から手をつければよいですか。
第1章の3つの問いに答えてください。すべて「いいえ」なら Team で始め、社内ルールの整備に時間を使うほうが効果的です。1つでも「はい」があれば、第6章の判断シートを埋めてください。
📚 出典・参考(2026年8月6日確認)
- Anthropic「Plans & Pricing」
- Anthropic「Claude enterprise solutions」
- Anthropic「Is my data used for model training?」
- Anthropic「How long do you store my organization’s data?」
- Anthropic「Configure custom data retention controls for Enterprise plans」
- Anthropic「Who owns and manages the data of my Team?」
- Anthropic「What certifications has Anthropic obtained?」
- 個人情報保護委員会「法令・ガイドライン等」
料金・機能・データの扱いは変更されます。契約前に公式ページの最新の記載をご確認ください。
この記事について
執筆・編集:MGK編集部(株式会社エム・ジー・ケイ)
編集責任者:代表取締役 山崎 将史
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